推薦者 杉山 淳子さん(岐阜)

ウクライナ紛争も繰り返されている事なのでしょうか? 

書籍の帯には、「ウクライナ紛争の背後にいた勢力は、日本を真珠湾攻撃に至らしめたのと同じ勢力だった」と書かれています。元駐ウクライナ大使の見方を知りたくこの本を手に取りました。

まえがきには、「『歴史の教訓』に学べ」「日米戦争の真因を理解することによって、現在の世界の支配構造を見抜いて頂きたい。」とあります。

朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争などを起こさせた様々な謀略が書かれていました。そして現在のウクライナについて、上層部の腐敗が激しく、著者がウクライナで大使を務めていたころから続いている天然ガスの利権問題がある事を伝えています。ハンター・バイデンが、ウクライナの天然ガス会社「ブリスマ」の幹部に就任しているのは有名です。また、今回の紛争で釈然としないことが多すぎるとして、いくつかあげられています。その一つ「米国の経済制裁が中途半端で、抜け穴だらけ。G.Sや、M.Sは、急落したロシア株を買いあさっている。ウォール街はいずれ値上がりする株で大儲けすることを企んでいるのだと想像される」と。これも驚きです。

第1、2部では、日米戦争や支那事変の検証がなされていますが、その真相を理解するには、メディアを通じた「情報戦争」を理解する必要があるとしています。「戦争を策謀する勢力が、メディアによって、ある特定の意見を持つように国民を洗脳している事実に気付いていない。」と書かれています。現在のウクライナ報道においても日本で報道されていないことが沢山あります。4月26日スペイン、5月3日イタリアのメディアは、ブチャの大虐殺をやったのはウクライナ軍であると報じました。フランスの国家憲兵隊とキエフの法医学調査チームが捜査を行い死体からダーツ(フレシェット弾)を発見したのです。これは2014年以降、ウクライナ軍がドンバスのロシア系住民に使用した無差別殺傷武器です。日本(アメリカ、イギリス)の報道とは、真逆です。

筆者は、「歴史は繋がっています。日米戦争を理解することは、現在、我が国がおかれている国際環境を知ることになります。同時に我が国の先人たちの苦労に思いを馳せる作業にもなります。これらの作業は、ウクライナ紛争が勃発した、戦後77年の今年に私達自身が行うべき‶義務″でもあります。」と述べています。私も同感です。

第二次世界大戦を仕掛けられた日本は、その教訓を活かし、ウクライナ紛争の「仲裁役」となり、紛争を一日も早く終わらせるように努力すべきだと思います。ロシアは日本の友好国でした。今は敵対国となってしまいました。

情報は操作されやすいものだと知った上で、自分達なりにどうあるべきかを考える事、それが今生きている私達の責任だと思いました。未来、「あの時の紛争が発端だった。避けられたら良かったのに」と歴史に残ることのないように。