公立大学法人公立小松大学 キャリアサポートセンター専任講師 
松木礼子氏

公立大学法人公立小松大学 キャリアサポートセンター専任講師の松木礼子氏にお話を伺いました。
松木氏は大学のキャリアコンサルタントとして、日々学生からの様々な相談に真摯に向き合われています。資格取得のきっかけやキャリアコンサルタントとして心掛けていること、また産業カウンセラー資格とキャリアコンサルタントとのダブルライセンスの取得についても、その効果や意味について伺いました。

1・現在のお仕事について教えてください

大学のキャリアサポートセンターの専任講師として学生の就職支援とキャリア教育を担当しています。具体的には学生のキャリア相談や就職ガイダンス、学内企業説明会、キャリアデザインの講義のほか、企業開拓や求人情報の提供など多岐にわたります。

新設大学でキャリアサポートセンターの立ち上げから現在で6年目となりましたが、教職員の方々と連携しながら少しずつ土台を築き上げてきました。学生のニーズや大学を取り巻く環境の変化に合わせながら年間プログラムを改善し、より良い就職支援、キャリア教育になるよう日々奮闘しています。

これまで3期生を社会に輩出してきましたが、3年連続内定率100%と高い実績を上げることができました。

2・キャリアコンサルタント、産業カウンセラーの講座を受講しようと思われたきっかけは?

職業訓練校の産業カウンセラーの先生との出会いがきっかけでした。「女性も自分のキャリアは自分で切り拓く」という女性活躍推進の学びで視野が広がったような感じがしました。当時は性別役割分業意識が根強く残っていた時代、私自身も専業主婦になるか仕事に就くか将来のキャリアに迷っていた時期でもありました。女性活躍推進の学びはこれからの女性の生き方を示唆するものでもあり、社会全体を明るく照らしてくれるに違いないと確信しました。

また当時キャリアコンサルタントという仕事はメジャーではなかったのですが、第7次職業能力基本計画の「キャリアコンサルタント5万人養成計画」の新聞記事を目にしたことも受講の決意を後押ししてくれました。
先生の薦めもあり、迷わず産業カウンセラーとキャリアコンサルタント二つの資格を取得しようと考えました。

3・学んだことが今の仕事に役立っている、活かされていると思われる点は?

産業カウンセラー養成講座での「傾聴訓練」の学びは、クライエント理解に最大に活かされており、傾聴なくして相談業務はできないと考えています。カウンセラーの基本的態度である「受容・共感・自己一致」はもちろんですが、講習の中で最も心に残っている先生の言葉は「クライエントの履いている長靴に片足を入れる」というカウンセラーの心掛けです。クライエントを理解することの難しさ、カウンセラー側も相当な覚悟が必要であることを教えていただき、今でもこの言葉を胸にクライエントと向き合うようにしています。

また、キャリアコンサルタント養成講座での学びは、日々のキャリア相談だけではなくキャリア教育の授業や就職ガイダンスのプログラムを企画するうえでも大変役に立っています。産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を取得してから17年目になりますが、養成講座での学び全てが現在の仕事に繋がっているといえます。

4・キャリアコンサルタントとして心掛けていることは何でしょうか?

学生が100人いたら100通りの人生があります。主体的に自己と向き合い、自分らしいキャリア選択ができるよう、時間のある限り学生に向き合い、全学生の特徴を把握するようにしています。

キャリア相談の中では、人生経験の中から、本人の強みやその人なりの考え方、価値観を引き出すように心がけています。自分の強みをあまり把握できていない学生が多いため、これまでの経験を語ってもらいながら、本人らしさに気づき、新たな行動の一歩を踏み出せるよう、伴走者として寄り添いながらサポートするように心がけています。

プライベートでは、キャリアコンサルタントの勉強会や講習会に積極的に参加し、知識習得やスキル向上のための学びを継続しています。この仕事を長く経験しているからこそ陥りがちな「支援者の奢り」「スキルの陳腐化」が起こらないよう、定期的に学び直し初心に戻って勉強するように心がけています。

現在も休みの日を利用してロールプレイングや逐語記録の作成、スーパーバイザーに指導を仰ぎながら傾聴訓練をしています。課題に追われることも多く大変な反面、全ての学びがクライエントの成長に繋がると信じています。

5・講座を受けて良かったと思われる点は?

同じ志を持って学んできた産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの方々との出会いです。養成講座の中では、同期のメンバー同士が自分の悩みをさらけ出しながら繰り返し面談練習をするため、徐々に信頼関係が構築され、温かな心の繋がりを感じることができました。養成講座が終わった後も、産業カウンセラーの方からお仕事を紹介していただいたり、様々な学びの場でご一緒したりと、人との繋がりがあるからこそ、今の自分があると思っています。

6・これから産業カウンセラーとキャリアコンサルタントのダブルライセンスを考えている会員に、何かアドバイスなど頂けますでしょうか?

産業カウンセラーの資格とキャリアコンサルタントのダブルライセンスを取得することで、さらなる専門性が期待できること、ご自身の仕事の幅も広がるのではないかと考えます。一方で、どのような資格も資格を取ったら終わりではなく、資格を取ってからがスタートだと思います。学びを継続するプロセスそのものが産業カウンセラーやキャリアコンサルタントとしての自信と成長に繋がると思います。